白昼夢

ついさっきだから白夜夢かな
フラッシュバックってヤツですよ


仕事にかまけて数ヶ月帰っていなかった
実家の最後の風景
母は脳動脈瘤膵臓ガンが見つかって
退院した後だった


今までずっと
家の事なんか何もしなかった父が
台所に立ってチキンを焼いていた
「持って行って食うか?」と私に差し出した


ああ
この二人はようやく
夫婦らしい生き方を始めたんだな
と思った


姉は何も言わなかった
しつこいくらいに遊び相手を求めていた甥は
私の姿を見ても寄って来なかった


そこにあったのは
うまく行きつつある家族の姿



私が当て嵌まる場所が無かったのは
きっと私のせい
そこに私の居場所を作ろうとすれば
破綻するかもしれない
そんな安定感のある風景



清々しい涙
コレはたぶん新陳代謝
周囲も私も変化し続ける
変化をやめたとき
垢のように剥がれ落ちていく


カラダを洗って流れていく垢に
なんの感情も持たないように
変化に適応できないモノゴトは離れ去っていく


たぶん
そんなことなんだろう